病者の塗油@イタリアの宗教

イタリア暮らし

ここイタリアはカトリックの総本山バチカンのお膝元。

国民の約80%がカトリック信徒です。

普段あまり宗教を意識せずに暮らしている人でも、人生の大きな節目には、カトリックの儀礼に従うことが多いようです。

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永遠のお別れの前に

大きな節目の中には、当然ながら死も含まれます。

カトリックでは、信徒が亡くなる前に神父様が「病者の塗油」を行います。

イタリアは、新型コロナウィルスの感染拡大により深刻な状況に陥った国の1つ。

不幸にもこのウィルスに感染してしまい亡くなる方に「病者の塗油」をしたことで、

少なくない数の神父様もまた亡くなられたという報道を目にした方も多いのではないでしょうか。

この行為を、

– リスクがありすぎる、

– 医療従事者の負担を考えれば、このような状況では一人でも感染者を減らす方が大事

と考える人も当然ながらいました。

特に宗教を持たないとする人の割合が多い日本では、こうした意見が多く出てきてもおかしくありません。

私もきっと以前であればそう考えたでしょう。

しかし、義母の死を機に、少し違う風にとらえるようになりました。

病者の塗油とは

病者の塗油は、カトリックの七つの秘跡(特別な儀式)の1つで、目的は「励ましと救い」です。

カトリックでは、危篤に陥った場合や、死が目前に迫ったと判断される場合など、神父様に来ていただきます。

神父様は、聖書を読み、秘跡を受ける人に按手(頭に手をおく)し、香油を額と手に塗りこう言います。

「この聖なる塗油により、慈しみ深い主キリストが、聖霊の恵みであなたを助け、罪から解放してあなたを救い、起き上がらせてくださいますように」

可能であれば、聖体拝領(オスチアと呼ばれる薄いお煎餅のようなパンを口にする)も行うよう。

家族もこの儀式に同席し、共に祈ります。

死に直面している人々が受けることが多いため、以前は終油の秘跡と呼ばれていた時期もありました。

ですが、目的は救いや許しであることから、大きな手術を受ける前にこの儀式を受ける人もいます。

(参照:カトリック中央協議会)

義母に病者の塗油を

今から数年前、

何年もの療養生活を経て、ついに口から食事を摂ることができなくなった義母が亡くなる2日ほど前のことです。

義母宅で神父様に病者の塗油をしていただき、離れて暮らす私たちも駆け付けました。

神父様が義母の枕もとで祈り始めると、

何日も反応がなく意識がないように見えた義母が

口を動かしはじめ、終始ブツブツ何かを言っていました。

※馬鹿な私はこれが「病者の塗油」だと知らず

(回復できるよう神父様にお祈りに来ていただいたのかとのんきに思っていた)

「何か話してたね、聞こえているんだね。よかった」

というようなことを義母の旦那さんに言ってしまったという...

心安らかになったのか

目的が励ましと救いと言えども、

この祝福を受けた義母は、自分が間もなく死ぬのだと理解したでしょう。

長年寝たきりに近い状態で、話すこともできなかった義母が

まだ死にたくないと思ったか、

ようやく静かに眠れると思ったのか、

私には分かりません。

でも、夫はこの義母の反応を目にし、

神父様に(亡くなる前に)間に合って来てもらえて良かった

と言いました。

最愛の息子である夫がそういうのですから

義母は心安らかになったのかもしれません。

義母は教会に通うような熱心なクリスチャンではありませんでした。

でも、だからこそ、クリスチャンにとって「病者の塗油」がどれほどの意味を持つのかを、垣間見たように思います。

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